「火葬後のペットの遺骨は自宅に置くべきなのか、それとも納骨すべきなのかどっちだろう」
「お墓に納骨する場合は骨壷から出すべきなのか、骨壷ごとかどっちだろう?」
「納骨にお布施はいくら払えばいいの?」
亡くなられた犬や猫などペットの遺骨についてその取り扱いに悩まれることがありませんか?
「納骨するのは四十九日なのか、いつなのか?」
「家のお墓に入れてはダメなのか?」
そのような納骨に関する疑問に答えるため、この記事では、ペット納骨の種類や納骨場所、手続きの流れなどについてお伝えしていきます。
ペットの納骨には2通りの意味があります
犬や猫などペットに限ったことではありませんが、納骨には大きく2通りの意味があります。
あなたは以下のうちのどちらの納骨をお考えでしょうか?
- 遺骨を「納骨用骨壷」に納めたい
- お墓など「別の場所」に遺骨を納めたい
この2通りのどちらかの納骨を考えるかによって今後の話が大きく変わってきますので、まずはそれぞれの違いを明確にみていきましょう。
①遺骨を「納骨用骨壷」に納める形の納骨
火葬後に残るペットの遺骨を納骨用の骨壷に納めることを、文字通り納骨といいます。
立会い火葬では、納骨用骨壷にお骨拾いなどによって遺骨を納めることがその納骨にあたります。
②お墓など「別の場所」に遺骨を納める形の納骨
一方、納骨用骨壷に入っている遺骨をお墓や納骨堂などに納めることも納骨といいます。
人間の納骨はお墓への埋葬が一般的ではありますが、ペットの場合は動物の種類や大きさ、飼い主の諸事情によってお墓だけにとらわれない様々な納骨方法があります。
それについては後ほどご紹介しましょう。
納骨時期でみるペットの納骨場所
一般には、人間の葬儀や法要と違い、ペットの場合は四十九日に納骨すべきなど、とくに決まった納骨時期は決められていません。
ですが、納骨に適したタイミングというものがあります。
それは、①ペット火葬後すぐに納めるケース、②骨壷をそのまま自宅に持ち帰り後日気持ちの整理がついてから納骨をされるケース、の2つのケースです。
ペットを火葬後そのまますぐ納骨するケース
火葬後の遺骨を自宅に持ち帰ったりなどを考えない場合は、その場でそのまま納骨することができます。
出張火葬サービスなどで自宅で火葬された場合などであれば、提携先のペット霊園に依頼することを検討されてもよいでしょう。
ペット霊園などで火葬されてそのまますぐ納骨するのであれば以下の2つが代表的な納骨場所です。
- お墓に埋葬する
- 納骨堂に安置する
それぞれの違いはこのあと説明していきますので、先にもう一つの納骨についてみてみましょう。
一旦骨壷を持ち帰って後日納骨するケース
火葬後すぐにペットの遺骨を埋葬や納骨するのではなく、自宅に骨壷を持ち帰ってあとから納骨もできます。
この場合もお墓に納骨できますし納骨堂への納骨もできます。
そして、それに合わせて以下の3つの納骨のやり方もありますのでご紹介しましょう。
- 自宅の庭に埋葬する
- 手元供養品に納める
- 自然葬として自然に帰す
この3つのやり方を納骨の定義に含めないこともありますが、お墓や墓地購入が金銭的事情で困難であったり、その後引き継いでくれる人がいないなどの場合もあることから、今回はお墓、納骨堂を含めた以上の5つを「広義の意味での納骨の形」として取り扱っていきましょう。
なお、一旦自宅に骨壷を持ち帰った場合、遺骨をずっと持ち続けてもまったく構いません。そして、納骨を希望されるのであれば、ひとつの区切りとして四十九日、百か日、一周忌など区切りの忌日、または飼い主とペットの思い出の日など記念日に合わせて行われるとよいでしょう。
お墓も含めた5通りのペット納骨場所
さて、今紹介したようにペットの納骨には大きく5通りがあります。
- お墓に埋葬する
- 納骨堂に安置する
- 自宅の庭に埋葬する
- 手元供養品に納める
- 自然葬として自然に帰す
どのやり方を選ぶかは飼い主の自由です。
これ以外にも納骨でない形で遺骨を引き取らない自治体火葬(火葬処分)や火葬しないで土葬もありますが、今回は納骨に絞ってお話しましょう。
あなたのペットに一番適した納骨方法がこの中にあるでしょうか?
この後、順にみていきましょう。
ペット霊園などのお墓に埋葬する
ペット霊園や寺院の所有するお墓に埋葬する形の納骨をみていきましょう。
先ほどもお話した通り、火葬後すぐに埋葬して納骨するケースと後日埋葬するケースがあります。
どちらも可能ですが、それぞれで料金が変わってくる可能性があるので事前に確認しておきましょう。
そして、墓地やお墓を選ぶ際にもっとも大きな選び方のポイントは、そのお墓にどのように埋葬されるかです。
その違いによって以下の2つに分けられます。
- 合同供養墓
- 個別墓
違いを言えば、合同供養墓は他のペットと一緒にひとつのお墓に入れられるものです。
一方、個別墓は一頭一頭個別でお墓に入れられるタイプのお墓です。
どちらに納骨するのが良いかは金銭的事情やその後の供養のあり方など状況によって変わりますので、それぞれの違いをみていきましょう。
それぞれのメリット・デメリットをみてみましょう。
合同供養墓への納骨
共同供養塔、合同供養塔とも言われる合同供養墓への埋葬は、他のペットと一緒に墓地内に納められる形の納骨となります。費用を抑えられる反面、一度合同供養墓に埋葬されると他の遺骨と混じるため遺骨の返却はされませんので注意しましょう。
永代供養であればその後の供養は、後世に負担を残すことなくすべて管理者側が代わりに行ってくれます。(年間管理費等がかかることもあります。)
個別墓への納骨
個別のお墓に埋葬して納骨するメリットは、人間と同じように手厚く葬ることができることです。ですが、当然ながら合同供養墓の埋葬より費用が全般的に高くなります。遺骨を土に帰す場合は骨壷から遺骨を取り出しお墓の中に納める形です。カロートといわれる納骨スペースがあるタイプのお墓であれば骨壷ごと墓地内に納められます。
お墓に共通する特徴
ペット霊園の規模や大きさ、プランにもよりますが墓地の管理を肩代わりしてくれるところでは掃除などの手間を省けます。
初期費用(墓地購入や契約費用)、その後の管理費用などが比較的多くかかるのがお墓埋葬の特徴です。
お墓への納骨方法は以下の通りです。
・ペット霊園などに墓地納骨を依頼します。
・料金を確認し書類等で手続きを行います。
・納骨します。
一口メモ:納骨にお布施はいくら払えばいいの?
決まった額はありません。すでに火葬プランに組み込まれていることもあります。ですので担当する火葬や納骨を執り行う業者に確認のうえ、僧侶の読経などでお礼として渡したい場合は、3000円〜5000円が妥当といえるでしょう。
ペット霊園などの納骨堂に安置する
納骨堂にペットの骨壷を安置する納骨方法についてお話しましょう。
ペット霊園などの敷地内に建てられた納骨堂といわれるお堂は、屋内のお墓といえます。
以前は、年間契約による遺骨の一時預かりが基本でしたが、都市部のペット霊園などにおいては永代供養として代替墓の役割を果たす納骨堂もでてくるようになりました。お墓や墓地とは違い骨壷が室内で管理されるため参拝に雨風の影響を受けませんし、開館時間内であればいつでも参拝可能です。合同慰霊祭も年に数回行われることもありますし、参拝にかかる入場料などは、僧侶による読経などオプションを申し込まなければほとんどの場所で無料となっています。
そして、遺骨を納骨堂に安置する方法には大きく以下の2種類のタイプがあります。
- 「納骨棚」タイプ
- 「ロッカー」タイプ
それぞれの違いをみてご自身にあったタイプを選んでいきましょう。
「納骨棚」タイプ
納骨棚タイプは、契約した専用スペースに骨壷を納めて管理するタイプの納骨堂です。
イメージとしては、ホームセンターで売っているカラーボックスの1区画に骨壷やペットの思い入れの品や写真、位牌、お花(生花、造花、プリザーブドフラワー)などを安置し飾ることができる、そのようなイメージをされるとよいでしょう。
「ロッカー」タイプ
専用のロッカーに骨壷を納めて管理するタイプのものです。
イメージとしては駅にあるコインロッカーのような鍵付きのロッカーに、骨壷や位牌を納めている様子を思い浮かべるとよいでしょう。
ペットの写真やペット用仏具などを入れられますが、ロッカー式であるため食べ物などお供え物は持ち帰る必要があります。
納骨堂に共通する特徴
これらいずれの場合も、納骨堂施設全体の清掃などは管理者側で行ってくれるため自宅に安置するに比べ日頃の管理が簡単です。さらには墓石購入が不要のため費用を抑えることができます。
ただし、保管期限が契約で限られている場合は、その期間を過ぎると合祀されて他の遺骨と一緒くたとなり、返骨できなくなる可能性があるので事前に契約書などをよく確認しましょう。
建物のなかであるため線香やろうそく、キャンドルなど火気厳禁であり、生花を飾ることが不可の場所もありますのでご注意ください。
納骨堂への納骨方法は以下の通りです。
・ペット霊園などに納骨堂への納骨を依頼します。
・契約書に必要事項を記載します。
・費用を払います。
・納骨します。
自宅の庭に埋葬する
それでは、自宅の庭にペットの遺骨を埋葬するケースをみていきましょう。
これまで紹介してきたお墓や納骨堂とは違い、遠くまで足を運ばなくても会いたいときは毎日でも庭ですぐに手を合わせ供養できます。
ですが、注意点がありますのでご確認くださいね。
自宅埋葬の注意点
自宅の売却や引っ越し、転勤などで土地を手放さなければならない場合や工事で土地を掘り起こす場合もあるので、埋葬される際は先を見通して埋葬箇所に十分注意しましょう。また、公園など公共の場所や他人の所有地では法律上埋葬できません。条例などで制限されている地域でもできませんので、トラブル防止のためにも事前に市区町村の役所などに確認をとりましょう。
なお、ペットでなく人間の場合は自分の所有地であっても遺体はもちろん焼骨であっても埋葬することができません。それは、『墓地、埋葬等に関する法律』があるためです。ですが、ペットの場合は法律上この法律の対象外のため、適切な方法であればペットの遺体や火葬後に残った遺骨を自宅の庭に埋葬ができます。
自宅の庭に骨壷ごと納めるには埋葬のページにある「カロート」を使いますのでこちらをご参照ください。
宅の庭などへの埋葬の流れや手続きは以下の通りです。
自宅の庭が条例など法律に適した場所でスペースがあるか確認します。
そして、適切な方法で墓の設置、またはカロートを使って納骨をしていきましょう。
一口メモ:家のお墓にペットの遺骨を入れてもいいのですか?
ペットをご先祖さまと同じお墓に入れて良いかという質問がありますが、基本的にはできません。それは、敬虔な仏教の宗派ではペットなど動物を人間とは違う下位の存在「畜生」として考える慣習があるため人間と明確に区別されるためです。また、ペットの亡骸や遺骨は法律上「一般廃棄物」として扱われるため、『墓地、埋葬等に関する法律』での解釈上、言い方は悪いですが、人間のお墓に「一般廃棄物」を入れていいものかという見解もあるためです。
ですが、現代ではペットも人間と同じ家族の一員という動物愛護の観点からペットのお墓に人間の遺骨を入れることが可能なペット霊園があります。
また、今はできなくても10年後、20年後と先の未来では人間のお墓にペットの遺骨を入れられるようになるかもしれません。
その時のために、このあと紹介する手元供養品に納めて持ち続けるのも今できる一つの手でしょう。
ペットの遺骨を手元供養品に納める
それでは、手元供養品に納めるケースでみていきましょう。
自宅や手元に遺骨を残したいときは分骨して手元供養品に納める方法もあります。こちらであれば自宅管理できるのでペットのことをいつでも身近に感じられます。
また墓地や納骨堂と違い、管理費がかからないため費用を抑えられるのもメリットです。
一見すると仏具と思わせないつくりですので、部屋に置いて飾っても、持ち歩いても違和感がありません。
大きく以下の納め方があります。
- ミニ骨壷に遺骨を納めて自宅供養する
- 遺骨アクセサリーに納めて身につける
順にみていきましょう
ミニ骨壷に遺骨を納めて自宅供養する
ミニ骨壷とは、「分骨用の骨壷」で手のひらに収まるサイズの骨壷のことです。
なお、ミニ仏壇がないご家庭では祭壇を仏壇代わりにすることもあるようですよ。
あるいは、納骨場所をペット霊園のお墓などにして、ペットのお姿を印刷したクリスタル位牌を自宅に安置するやり方もあります。
なお、洗面所や風呂場など湿気の多い部屋に置いたりなど、誤った管理方法によっては遺骨にカビが生えることもあります。
そして、ペットの遺骨を納めた分骨用骨壷を、ペット用ミニ仏壇に安置し供養していくと良いでしょう。
遺骨アクセサリーに納めて身につける
遺骨アクセサリーには遺骨ペンダントや遺骨リングなど様々なものがあります。
一見すると仏具と思わせないオシャレなつくりですので、普段使いでも違和感がありません。
そして、遺骨アクセサリーを持ち運ぶのであれば紛失の心配がありますので、大きめの袋に入れるなど管理徹底の上、なくされないようご注意くださいね。
ペットの遺骨は自宅に置いておいてはダメですか?
「自宅においたままだとペットが成仏できない」と人に言われるかもしれません。
土に返してあげないとペットがかわいそうと思い、自宅に置くべきか、お墓に納骨すべきかに迷われる方もいらっしゃるでしょう。
ですが、結論を言えば、正解はありません。
適切な方法である埋葬なり納骨される限りは、周りの意見よりも飼い主のしたいようにするのが一番です。
自宅にずっと置き続ける手元供養という形もひとつの納骨の形として捉えることもできるため、それよりも、自宅やお墓にとらわれず、愛するペットをいかに供養してあげられるかを考えてあげましょう。
そして、お墓や納骨堂に納骨したいと思うならそうされるのがよいですし、納骨しないまま遺骨の状態であればいつでもお墓に納骨または埋葬できますので、心残りがあるのであれば気持ちの整理がつくまで手元におき続けてもよいのではないでしょうか。
自然葬でペットの遺骨を自然に帰す
最後にもうひとつの納骨として自然葬をみていきましょう。
自然葬は一般には納骨に定義されないこともあります。
それは、お墓という目にみえる形のイメージがなく、いわゆるお墓という感じがしないためです。
ですが、「自然の中に納める」という意味で考えたのであれば、この自然葬も立派な「納骨」として考えられるでしょう。
なお、ペット霊園などお墓であればその後の管理や維持費の支払いが必要になりますが、自然葬はペットを自然に返したあとの管理が必要ないため後世に負担が少ないメリットがあります。
3種類の自然葬
自然葬には以下の3種類があります。
- 樹木葬
- お花畑葬
- 散骨
それぞれの順にみてみましょう。
樹木葬
樹木葬は墓石の代わりに樹木を用いるタイプのお墓です。
樹木葬に対応しているペット霊園や寺院の一角であったり、飼い主の所有する自宅の敷地内で行われます。先にペットの遺骨を埋めて、その上に樹木の苗木を墓標がわりに植える方法もあれば、あらかじめ植えられている樹木の下に遺骨を骨壷ごと納める(土に帰すための埋葬の場合は、骨壷から遺骨を取り出します)というやり方があります。
お花畑葬
樹木葬の樹木の代わりに花を植えるタイプのお墓です。
こちらも対応しているペット霊園などであったり、自宅に埋葬スペースがあれば埋葬して花の種を蒔いたり苗木を植えます。
散骨
ペットの遺骨をパウダー状にして海や山に帰すという意味での納骨です。
海洋散骨の場合は、クルージングなどで散骨可能な場所まで移動して行われます。
山の場合は土地の所有者の許可がある場合に限りますが、散骨しても問題がない場所に散骨されます。
なお、散骨の場合、どこに撒いたか分からないと手を合わせる方角が分からなくなる場合がありますので、散骨証明書に散骨場所が記載したものをもらえるか確認されると良いでしょう。あれば、おおよその方向を向いて手を合わせることができます。または分骨の形でわずかでも手元に残しておき、手元供養品で自宅安置されるとよいでしょう。
自然葬での納骨の流れや手続きは以下の通りです。
どの自然葬にするかを検討しましょう。
対応可能なペット霊園、または散骨場所を探します。
電話または専用フォームなどで申し込み、あとは業者の指示に従いましょう。
以上のように納骨にはお墓に納める方法、納骨堂に納める方法だけでなく、自宅の庭、また手元供養品に納める方法などがあります。自然葬として行う樹木葬やお花畑葬や散骨も納骨として考えられることもお分かりいただけたかと思います。
R2 事業再構築 シ-3
コメント